アニサキスの発育
アニサキスは、回虫目アニサキス科アニサキス属の線虫の総称です。海産動物に寄生している寄生虫です。人間にとって問題なのは、アニサキス症を発症させる原因寄生虫だということです。
人間に感染するときは、魚介類から感染し、主にサケ、サバ、アジ、イカ、タラなどが多いようです。
アニサキスは、通常アニサキス属の種ですが、アニサキス属以外の近縁となるシュードテラノバ属なども、アニサキス症と同様の症状となるシュードテラノバ症を起こすので、まとめてアニサキス症と呼ぶ場合があります。
アニサキスの生活環ですが、最終宿主は、クジラ、イルカなどの海産哺乳類であり、アニサキスの成体はこれらの腸管に寄生しています。産卵すると卵は糞便といっしょに海中に放出されます。それがオキアミなどの甲殻類に捕食され、今度はその体内で発育します。やがて感染性を持つ第3期幼虫まで発育していくのですが、その甲殻類も捕食され、今度は食物連鎖上位の中間宿主となる魚類やイカの体内で更に成長していきます。
中間宿主についてはアニサキスの種類によって異なってきます。最後に、寄生された魚類やイカは最終宿主となるクジラやイルカに食べられ、成虫になります。このように食べられ続けて、その中で発育していくというのが寄生虫の大きな特徴となっています。