食中毒原因物質
ちなみにアニサキスに寄生されている魚類やイカを人間が食べたらどうなるのか?実はアニサキスは、人間の体内では成体になることはできませんし、従って産卵もされません。
しかし、魚類などの中間宿主の体内で、アニサキスは内臓だけに寄生するのではなく、内臓を避けて食べていれば感染を完全には防げるというものでもありません。
さて、大きな問題となるのはアニサキス症です。寄生虫被害の多くは刺身などを食べたことが原因になっています。そしてアニサキスの第3期幼虫が原因です。第3期幼虫の体長は11~37mm位と案外大きいものです。目でもはっきりわかる大きさです。これを経口摂取してしまっているのです。
厚生労働省の資料がありますが、日本でのアニサキス症の年間発生数は、33万人規模の診療報酬明細書での試算で7,147件もあります。つまり2,000~3,000名以上はいると推定されます。厚生労働省の統計ではもっと少ないのですが、後述の届出集計なので、おそらく氷山の一角的な感じでしょう。
1999年12月に食品衛生法施行規則の一部改正があり、食中毒事件票の一部が改正され、アニサキスも食中毒原因物質として例示されるようになっています。アニサキスは原因物質として個別に取り上げられており、もしもアニサキスでの食中毒が疑われる場合は、24時間以内に保健所に届け出ることが必要になっています。